IMFは2024年の成長率予測を0.5%から0.7%に引き上げ、英国経済に弾みを付けた。このニュースは、国を低迷期から脱却させたいと願う新政権にとって朗報となる。

IMFはまた、2025年の成長率を1.5%とするという前回の予測も維持した。この上方修正は、2023年後半に軽微な景気後退が見込まれるなど、英国にとって厳しい数年間が続いた後のことだ。しかし、状況は上向きつつある。

5月の英国のGDPは0.4%増加し、予想を上回った。ユーロ2024サッカー選手権やテイラー・スウィフトのERASツアーなどの今後のイベントも経済活動を活発化させると予想されている。

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ゴールドマン・サックスも英国の予測を改善し、2025年の成長見通しを1.6%に引き上げた。同社は、計画改革とEUとの貿易関係強化を計画しているキール・スターマー首相率いる労働党政権の財政計画を評価している。

ドイツ銀行も楽観的な見通しを示した。同銀行のエコノミストは、英国の今年のGDPが0.8%という以前の予測から1.2%増加すると予想している。専門サービスと建設業の好調さを指摘している。

英国の首相キール・スターマー。写真提供:ステファン・ルソー/PA Wire

イングランド銀行は近々金利引き下げを開始するとみられる。英国は5月に中央銀行の2%のインフレ目標を達成しており、ロイターが調査したエコノミストは1.9%へのさらなる低下を予測している。

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IMFは他の経済の成長見通しも引き上げた。ユーロ圏の2024年の見通しは0.1パーセントポイント引き上げられ、0.9%となった。スペインはより大きな上昇が見られ、予測は0.5パーセントポイント引き上げられ、2.4%となった。

中国の成長率予測は0.4%ポイント上昇し5%となった。一方、米国経済の成長率予測は0.1%ポイント小幅下方修正され2.6%となった。

欧州中央銀行(ECB)は次回の会合で金利を据え置くと予想されている。投資家は今後の動向に関する手がかりを探している。

ドイツ・フランクフルトのECB本部。提供:ロイター

市場は9月の利下げに賭けており、ECBが基準預金金利を0.25パーセントポイント引き下げて3.5%にする可能性は85%だ。

しかし、ECBの政策担当者は慎重だ。賃金の伸び率(年間約5%)とサービスインフレ率(4%以上)の高さは注意が必要だと主張する人もいる。また、失業率が過去最低の6.4%であることも、さらなる利下げを急がせない理由だと指摘している。