ノースカロライナ州知事ロイ・クーパー氏は、連邦準備銀行が発行する中央銀行デジタル通貨の同州での導入を禁止する法案が下院と上院でほぼ全会一致で支持されているにもかかわらず、拒否権を発動した。

政治的な動機による決定を下したとして非難されているクーパー氏は、6月5日の声明で、下院法案690号は「時期尚早で、曖昧で、反動的」であるため、法律として署名できないと説明した。

「連邦レベルでは、デジタル資産を使用する消費者、投資家、企業を保護するための基準と安全策を確実に講じる取り組みが行われており、ノースカロライナ州は行動を起こす前に、それがどのように機能するかを見守るべきだ」

クーパー知事の拒否権発動は、6月下旬に下院で109対4、上院で39対5という圧倒的な投票結果を受けて行われた。

ほぼ全会一致の投票であったことから、ノースカロライナ州議会議員らは両院で5分の3の多数決を得て、クーパー知事の拒否権を簡単に覆すことができるだろう。

クーパー氏の拒否権発動の決定は不評だった。

「クーパー知事の拒否権発動はノースカロライナ州民の願いを反映するものではなかった」とブロックウェア・ソリューションズの主任アナリストでノースカロライナ州出身のミッチェル・アスキュー氏はコインテレグラフに説明した。

アスキュー氏は、ノースカロライナ州民全員に利益をもたらす法律を支持するためにクーパー氏が「党派政治を脇に置こうとしなかった」のは残念だと述べた。

「彼が拒否権を発動したのは、対立候補のマーク・ロビンソン氏が法案に賛成しているからだ。ビットコイン支持派、自由支持派の候補者が誰なのかは明らかだ。」

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同様に、ブロックチェーン協会の業界担当責任者ダン・スパラー氏は、クーパー知事の拒否権発動は、ノースカロライナ州がCBDCに強く反対しているという明確なメッセージを送る機会を逃したと述べた。

「[デジタル資産]政策はアメリカ国民の手に委ねられ、デジタル通貨のいかなる開発もプライバシー、個人の主権、自由市場の競争力という我々の価値観を反映するものでなければならない。」

とはいえ、連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は3月の連邦上院銀行委員会の公聴会で、米国は「いかなる形であれ中央銀行デジタル通貨を推奨するどころか、ましてや採用するところまでには程遠い」と述べた。

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