2011年から2016年まで米国の司法長官を務めたドナルド・ベリリ氏は、控訴書類の中で、連邦規制当局が「デジタル資産業界を『銀行から排除』するための積極的かつ組織的な取り組み」を行っていたと主張した。

7月3日、米国第10巡回控訴裁判所に提出されたアミカス・ブリーフの中で、Verrilli氏はブロックチェーン協会を代表して、カストディア銀行の控訴を支持した。ワイオミング州連邦地方裁判所が3月に判決を下した後、カストディア銀行は連邦準備制度理事会が同銀行のマスターアカウントへのアクセスを拒否したことに異議を唱え、第10巡回控訴裁判所に控訴した。

事件の背景

カストディアは2020年10月にマスターアカウントを申請し、2022年6月にFRBが申請の処理を「不法に遅らせた」として中央銀行を相手取って訴訟を起こした。FRBは2023年にカストディアの申請を却下し、その決定の中で同銀行と仮想通貨業界とのつながりを理由に挙げた。2024年3月、裁判官はFRBの決定を支持し、カストディアに申請を審査する機会を与えなかった。

「カストディアにとって残念なことに、同社の申請は連邦規制当局によるデジタル資産業界の『銀行業務の廃止』に向けた積極的かつ協調的な取り組みの流れに巻き込まれてしまった」と、ヴェリリ氏は7月3日の提出書類で述べた。

元司法長官はブロックチェーン協会を代表して、連邦準備制度理事会、連邦預金保険公社、通貨監督庁の2023年1月の声明を引用し、仮想通貨は「安全で健全な銀行業務と矛盾する可能性が高い」と主張した。連邦準備制度理事会は、連邦規制当局からの協調声明を受けて、カストディアのマスターアカウント申請を却下した。

ヴェリリ氏は次のように付け加えた。

「カストディアは、自らに落ち度はないが、デジタル資産業界を国家経済全体から切り離そうとする連邦銀行規制当局のキャンペーンの焦点となった。」

元米国上院議員のパット・トゥーミー氏、ワイオミング州務長官のチャック・グレイ氏、米国上院銀行委員会および米国下院金融サービス委員会の委員など、他の利害関係者もカストディアの控訴を支持する同様のアミカス・ブリーフを提出している。同じく元米国司法長官のポール・クレメント氏は、デジタル商工会議所およびグローバル・ブロックチェーン・ビジネス協議会に提出したブリーフで、カストディアは「連邦規制当局の不興を買っている」と主張した。

控訴裁判所がカストディアの要請についていつ判決を下すかは不明だ。また、判事が判決でシェブロン原則を覆した6月28日の最高裁判所の判決を考慮する可能性もある。最高裁判所の判事の過半数は、連邦機関の法律解釈を裁判所が尊重することを要求する判例を覆したが、これはカストディアのマスターアカウント申請に関する連邦準備制度理事会の判決にも当てはまる可能性がある。

米下院は7月10日、銀行による仮想通貨の取り扱いを禁じている証券取引委員会の会計規則を覆す決議を再審議する。当初は下院と上院の両方で可決されていたが、ジョー・バイデン大統領は5月にこの法案を拒否した。下院は3分の2以上の多数決で拒否権を覆すことができる。

雑誌: 仮想通貨のマーケットメーカーは実際何をするのか? 流動性か、それとも操作か