英国のブロックチェーン分析会社エリプティックの報告によると、人工知能(AI)は技術としてはまだ初期段階にあるものの、すでに暗号通貨分野での犯罪行為に利用されているという。

AIを活用した暗号犯罪はまだ主流の脅威ではないかもしれないが、新たな傾向を特定することは持続可能なイノベーションにとって重要であると報告書は述べている。

最近の暗号通貨投資詐欺では、有名人や権威者のディープフェイクを利用して自らを宣伝している。

こうした詐欺には、イーロン・マスク氏やシンガポールの元首相リー・シェンロン氏のビデオ映像などが使われてきた。

DLニュースは今月初め、リー氏が仮想通貨投資を売り込む動画を掲載したソーシャルメディアの広告は、同氏が今年初めに行ったスピーチの動画に偽の音声を重ねたディープフェイクだったと報じた。

「これは非常に心配です。ビデオを見た人は、私が本当にその言葉を言ったと勘違いするかもしれません」とリーさんはフェイスブックの投稿で述べた。「ビデオは本物ではありません!」

AIは詐欺トークンの誇大宣伝にもなっているとエリプティックのレポートは述べている。

たとえば、ブロックチェーン上には、名前に「GPT」という用語のバリエーションを含むトークンが何百もリストされている。合法的なベンチャー企業の製品であるものもあるかもしれないが、エリプティックはその中に多数の詐欺を特定したと述べた。

脅威アクター

報告書は、AIツールがコード監査やバグチェックに使用できるかどうか、またブラックハットハッカーがそれらの機能を利用してハッキングを特定し、考案する可能性があるかどうかについて議論があると指摘した。

エリプティックのレポートによると、マイクロソフトとOpenAIはロシアと北朝鮮の脅威アクターがそのような試みを行っている事例を報告しているが、彼らの技術はまだ完全には開発されていないと示唆する者もいるという。