金市場アナリストのヤン・ニューウェンフイズ氏は最近、貴金属市場の状況を調査し、金価格の大幅な上昇は民間市場と中国人民銀行(PBOC)という2つの需要エンジンによるところが大きいことを明らかにした。

ニューウェンフイズ氏によれば、中国の民間部門による金の輸入は今年第1四半期で543トンに上り、この数字は同国の中央銀行が同期間に準備金を189トン追加したことによるものだ。

同国の民間の金需要は2023年第4四半期から74%増加し始め、中国人民銀行の蓄積は前四半期から38%増加した。

これら2つの要因により、貴金属の価格は史上最高値を更新し、史上初めて2,450ドルの水準を超えたが、その後わずかな調整を経て現在は2,340ドルで取引されている。

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データによれば、今年第1四半期の中央銀行の金需要は290トンで、アナリストによると、中国人民銀行が準備金を5,542トンに増やし、その大部分を補ったという。

アナリストらによると、こうした買収は、ロシアがウクライナ侵攻を開始した後に欧州連合がロシア中央銀行の資産2000億ユーロ(約2160億ドル)相当を凍結したことを受けて、中国が法定通貨の外貨準備への依存を減らすために米国債保有から手を引く中で行われている。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、国内の金に対する民間需要は、手頃な貴金属投資方法として小粒の「金の豆」を購入し収集してきた消費者から生じている。

中国では、不動産や株式といった伝統的な投資オプションが低迷する中、貴金属は魅力的な投資の選択肢となっている。アナリストは次のように書いている。

資本規制により投資の選択肢が限られている中国国民は、今後も金への投資を続け、価格を支えるだろう。

ニューウェンフイズ氏は、中国政府が最近、地政学的緊張が高まる中、安全資産としての金の価値をさらに高める動きとして、米国債と政府機関債を530億ドル分売却したとの報道を引用し、金市場は引き続き活況を呈すると予測している。

注目の画像はUnsplashより。