米国商品先物取引委員会(CFTC)のクリスティン・ジョンソン委員は最近、米国の金融市場に適用される人工知能(AI)技術の規制に関する3つの提案を進めた。

ジョンソン氏は5月2日に開催された技術諮問委員会(TAC)会議で、金融市場へのAIの統合に伴うリスクを評価するための「原則に基づく枠組み」の確立、AIの意図的な悪用に対する罰則の強化、そして「金融市場へのAIの統合拡大に対処するためのガイダンス、監督、規制を評価、査定、調和させる」タスクフォースの設置というCFTCの3本柱の議題を明らかにした。

政府が捜査タスクフォースや常識的なリスク評価プラットフォームの創設を求めるのは目新しいことではないが、AIを利用して犯された犯罪には「厳罰」を科すべきだというジョンソン氏の主張は、既存の法的枠組みに大きな変化をもたらすことになるだろう。

ジョンソン氏は、リサ・モナコ米司法副長官の以前の演説を引用し、「銃は危険を増大させるため、犯罪に使われた場合、刑罰はより重くなる。銃器と同様に、AIも犯罪の危険を増大させる可能性がある」と述べた。

ジョンソン氏によれば、AI テクノロジーの出現とその悪用の可能性も同様に扱われるべきだ。

「こうした懸念に対処するため、委員会は、AI技術を故意に利用して詐欺、市場操作、規制回避を行う者に対して、より厳しい罰則を導入すべきだ。AIを利用して規則に違反する悪質な行為者には警告を与え、AIを武器として利用して詐欺、市場操作を行ったり、市場の運営や健全性を妨害したりしないように十分に抑止する必要がある。」

コミッショナーのスピーチは、CFTC が初の最高 AI 責任者であるテッド・カウク氏を任命した直後に行われた。カウク氏は以前、CFTC で最高データ責任者およびデータ部門のディレクターを務めていた。

出典: X の @FSCDems。

一方、金融サービス委員会の筆頭メンバーであるマキシン・ウォーターズ下院議員は最近、ジョセフ・バイデン米大統領に宛てた書簡で、ジョンソン氏を米国財務省の金融機関担当次官に指名するよう推薦した。指名され承認されれば、ジョンソン氏は米国金融市場に関連する法律や政策の制定で重要な役割を果たすことになるだろう。

関連:英国政府、AIの著作権と市場競争に関する行動を呼び掛け